生まれてきたときは、元気に生まれてきたことをただただ喜んでいても、子育てが進み他の親子を目にするようになると、「こんな子になってほしい」「こんな子になってほしくない」のように、子供に期待が膨らむことがあります。年頃になるとそれは進学や就職に関するものになるかもしれません。

子育てをしていると夢や期待が膨らんでしまうときがありますが、完ぺきを求めては酷というものです。親としていろいろな思いがあると思いますが、今回は表現力豊かな子供に育てる方法を考えていきたいと思います。

可能性が広がる表現力豊かな子

表現力が豊かな子は、一般的に喜怒哀楽が激しくなります。笑っていたかと思うと泣き叫ぶ…手がかかるうちはお母さんも大変かもしれませんが、ある程度コントロールできるようになると表に出てくる行為は減るはずです。その分、さまざまな才能が表に出てくることでしょう。

どんな場面で表現力の差が現れるのでしょう。絵、音楽、作文、ダンスといった学校教育の一環で行われるものから、ファッション、メイクなど多岐に及びます。それだけでなく、自分の気持ちや感じているものを表現する力は、周囲とのコミュニケーションや大人になってからのプレゼンにもつながります。表現力は芸術分野の才能だけでなく、社会の中で生きていく上で強力な武器になるのです。

表現力の豊かな子は、伝えたいことが相手にうまく伝わらないというストレスからも解放されることでしょう。小さい子供が駄々をこねる理由の一つが、伝わらないもどかしさです。語彙が少ない子供にとって、思っていることを十分に大人に伝えるのは難しいことです。また、そんな子供を見る大人も分かろうと努力するものの、完璧に理解できずもどかしさを抱えてしまいますね。表現力が豊かであることは、相手に伝わらないストレスにさらされにくく、のびのび育つことで更なる可能性が広がることでしょう。

表現力豊かな子に育てる方法

では、子供の表現力を伸ばすにはどのような方法があるのでしょうか。「子供だから理解できないことを言うのも当たり前」と無関心でいたり、何かを伝えようとしている子を「騒ぐな」「泣くな」と押さえつけたりしていては表現力も伸びないでしょう。よくある大人の対応は、子供の表現力の芽を摘み取っている可能性があります。

○のびのび自由な発想を受け入れる

子供の表現力を伸ばすには、まず、子供の感性を大人の価値観で抑え込まないことが大切です。小さい子なら必ずある「わがまま」や「泣く」といった行為は、その行為を通して何かを伝えたいことにほかなりません。大人とのコミュニケーションを求めているケースもあります。

表現力を伸ばすには、このような行為が見られた場合、子供に関心を示してあげてください。無視したり怒ったりするのではなく、話しかけたり抱き締めたりすることで、子供は表現することを怖がらなくなります。大人から見て「えっ?」というような絵を描いてきたときもそうです。大人の価値観ではおかしく思える絵も、子供にとって意味があるものです。子供が上手くその絵を説明できなくても、関心をもって話をしていくと謎が解けてくることもあるでしょう。褒めて伸ばすという考え方もありますが、子供に関心を示すことは褒めること以上に効果があるように見受けられます。

子供の表現力を伸ばすのは幼児期が大切です。学校などの集団生活におかれると、教育や集団のルールで表現力が抑えられてしまう恐れがあるからです。友達から指摘されることで、表現することを恐れてしまう可能性もあります。幼いうちに表現力を身につけた子は、集団生活の中で自己表現していい場面と、協調性が大事な場面をうまく区別できているように思います。

○親が手本となる

成長過程で子供は自然と表現の方法を学んでいきますが、多くの場合表現方法の学習が遅れているように見えます。それがイライラとなり駄々をこねる行為につながっているのではないでしょうか。

これには、親が手本を見せてあげることが有効です。何かを作ってあげる、絵を描いてみせるといった行為を見せることで、子供は表現の方法を学んでいきます。赤ちゃんにもおすすめなのが、話しかけるときに身振り手振りを加える方法です。小さい子は動くものに興味を示す傾向がありますので、それを利用するのです。始めは動きの意味が分からなくても次第に学習し、「手を振る=バイバイ」を表現する行為とわかっていくことでしょう。

○本の読み聞かせがおすすめ

本は子供の世界を広げてくれるアイテムです。表現力は感じたことを表現する力ですから、感受性と深いつながりがあります。本を通してさまざまな世界を体験することは、多くの感情を味わい感性が磨かれることにつながるでしょう。

コミュニケーションが取れる年齢ならば、読み終わった後、本について話をしてみてください。絵本の年代ならば、絵について話をしてもよいでしょう。「これはクレヨンだよ」「こっちは版画だね」と道具によって絵の印象が変わることを教えることもできます。年齢に応じて、話を聞いた感想を聞いてみるのもよいでしょう。小さいころは「嫌だった」と答えていたものが、成長し表現力がついてくるともっと具体的になってくるはずです。一度子供の感想を聞いて、それを掘り下げる質問をしていくと表現力が鍛えられます。

○芸能事務所で指導を受ける

プロの指導でさらに子供の表現力を伸ばすことができます。ここまで、親のかかわりが大切だと書いてきましたが、親にも限界があります。親の感性の強要になってもいけません。第3者であるプロが介入することは、さらに子供の世界を広げることになるでしょう。

芸能事務所などで行われているレッスンは、子供の感受性を育て表現力を鍛えてくれます。将来、芸能人を目指している子でなくても、レッスン内容は社会に出て十分に活躍できる可能性を広げてくれるものになるので、決して無駄になることはありません。

子供の表現力が伸びることは、親子のコミュニケーションにもプラスになります。親にとって子供の表現力の成長は、子育てをより楽しいものにしてくれることでしょう。