キッズモデル募集なび

肖像権~頭に入れておきたいパブリシティ権について

キッズモデルを目指して本気で頑張ることを決めたら、子供自身の生活を守るため、身につけておくべき法律の知識も存在します。

「難しいからそういうのはちょっと……」なんて言うのはNG。

今回は、日常生活の中でもトラブルに発展しやすい「肖像権」について、わかりやすくレクチャーしていきます。

「肖像権」とは、そもそもどんな権利なの?

日本国憲法において定められている「幸福追求権」は、個人が幸福を追求する権利を守るための法律です。
その内容はというと……公共の福祉に反しない限り、個人が幸福を追求しようとする姿勢は、最大限尊重されるべきだということ。
少し難しい言葉が並んでいるのでかみ砕いて伝えてみると、「日本の憲法は、個人が幸せな生活を追い求めることを尊重しますよ。ただし、よほど常識外れなことをしなければね」ということです。

この幸福追求権の中で保障されているのが、「肖像権」なのです。

「肖像権」とは、個人が記録された映像に発生し、勝手に公開されることを防ぐことができる権利です。
もし知らない人が自分の写真を勝手に撮影し、ネット上にアップされたら……日常生活にも様々な影響が出ることが考えられます。
気持ち的にも嫌ですよね。

こんな状態が続けば、「幸せな生活」とは程遠い状態になってしまうでしょう。
自分自身の幸せな生活を追求するために、他人の迷惑な行動を禁止できるようになっている、というわけですね。

残念ながらこちらは、まだ憲法で保障された権利ではありませんが、過去の判例上認められている権利となります。
いわゆる判例法と呼ばれるものです。

「肖像権」には二つの側面があります。

さて、この「肖像権」は、二つの側面を持っています。
それが「人格権に基づいた肖像権」と「財産権に基づいた肖像権」です。

前項で挙げた「知らない人が無断で私の写真を公表して、実生活に害が及ぶこと」を避けるための権利が、前者「人格権に基づいた肖像権」です。普通の生活を送っている、多くの人が当てはまるのが、こちらの側面だと言えるでしょう。

しかしキッズモデルとして活躍したいと願うのであれば、もう一つの側面、「財産権に基づいた肖像権」についても無視できません。
こちらは、経済的な価値がある肖像に対する保護権利を示すもので、こちらも過去の判例上認められています。

「経済的な価値がある肖像」と言われてもピンとこない……!という方も多いはずですから、キッズモデルのお仕事を例に挙げて詳しく解説していきます。

子供がモデルとして活躍することになれば、子供自身の顔写真(肖像)に、付加価値が加わることになります。

たとえば、某人気ブランドの専属モデルとして活躍している子供の写真に、勝手に他ブランドの洋服を合わせて公開したとしたら……。

「あ! ○○ちゃんの着ている服、欲しい!」と思う方も多いはずです。子供の顔写真や映像にブランドイメージが結び付き、新しい商業的な利用価値が発生する、というわけですね。

勝手に利益を得る人がいれば、その裏に必ず不利益を被る人がいます。

この場合、専属契約を結んでいるブランドが困ることになってしまいます。ブランドアイテムのイメージが変わる危険性もありますし、正規品が売れにくくなることも考えられます。こうした被害を避けるために「財産権に基づいた肖像権」が保証されており、「パブリシティ権」と呼ばれています。

もしもモデル事務所と契約したら……?

キッズモデルとして活動するために、モデル事務所と専属契約を結ぶ場合、そのパブリシティ権はモデル事務所に帰属します。モデルの肖像を利用したい場合には、事務所の許可が必要となります。

許可を得ないまま使用した、許可の範囲を使用してしまった場合には、罰則が与えられることも……。キッズモデルとして活躍する子供には「パブリシティ権」が発生することを頭に入れておきましょう。

「顔」が映っていなければOK?

キッズモデルとして顧客吸引力を持つ子供たち。一般的に考えれば、その「顔」に多大な影響力があると言えそうですが、ここも注意が必要な点です。

たとえ体の一部のみであったとしても、パブリシティ権が否定されるとは限りません。本人のどこに顧客吸引力があると考えるのか、とらえ方は人それぞれだからです。

だからこそ、顔のみならず、身体の一部が映っている肖像の取り扱いには十分注意する必要があると言えるでしょう。

また複数の写真を組み合わせてコラージュを作成・公開するのも、肖像権の侵害にあたります。写真を無断で使用して、本人の意図にそぐわない形で公表されれば、イメージ悪化につながってしまう可能性もありますから注意する必要があります。

人気キッズモデルになると、「肖像権」を侵害されやすい立場へ

一般人として生活していると、「肖像権」について意識する機会はそれほど多くありません。周囲に人が写った写真や動画の取り扱いに注意したり、芸能人の写真使用を控えたり……「侵害されること」よりも「無意識のうちに侵害しないこと」に心を砕く方が多いはずです。

しかし自身の子供をキッズモデルとして活躍させようと思ったら、状況は一変します。

努力の甲斐あって、人気モデルとして第一線に立つようになれば、肖像権が侵害されないよう、配慮する必要があるのです。

子どもと共に、長く気持ち良く活動していくためにも、ぜひ頭に入れておきたいポイントと言えるでしょう。

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